よくあるQA

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医療法人のM&Aのメリットと注意点

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3.医療法人のM&A…経過措置型医療法人を購入する際の注意点
 医療法人にもM&Aがあります。医療法人を購入して承継する場合は、法人の名称や所在地、経営する診療所や役員・管理者を変更し、定款変更と登記内容の変更を行った上で、保険医療機関の指定を取り直す手続が必要です。必要ですが、こうした手続さえ踏めば、これまで他者が運営してきた医療法人を引継ぐことができるのです。

 そのようなニーズがどこにあるのかというと、いわゆる「経過措置型医療法人」を引き継ぎたいという点にあります。2007年4月以降、「持分のある医療法人」を新規に設立することはできなくなりました。



しかし、それまでに設立されていた「持分のある医療法人」は、そのまま存続することが認められたのです。それが、法律上「経過措置型医療法人」と名前を変えたのです。「経過措置」という言葉が使われているものの、これを廃止するとなると憲法上の財産権侵害の問題が出てきますので、実際はずっと存続していく可能性が大きいでしょう。確実に、とまでは言えませんが…

 「経過措置型医療法人」=「持分のある医療法人」の長所は、法人に財産を出資しても、出資した部分(持分)は自分の財産として確保し続けることができる点にあります。


つまり、法人が解散しても、出資者は当初の持分に応じて、法人に残った財産の分配を受けることができるのです。この長所ゆえに、経過措置型医療法人の法人格を確保したいというニーズは未だに大きいのです。



 しかし、運よく承継できる経過措置型医療法人を見つけたとしても、購入の際には細心の注意が必要です。例えば、その医療法人が過去に大きな医療事故を起こしていれば、医療法人の負の経歴と評判まで引継いでしまいかねません。


場合によっては、係属中の医療訴訟まで引継ぐ羽目になってしまいます。また、法人の理事長が過去に脱税などを行っていた場合、その法人に対しては税務当局から厳しいマークが付いている可能性があります。

こういったリスクを避けるため、法人を顧問していた税理士さん等に問い合わせるなど、事前にある程度の情報収集を欠かさないようにしましょう。