医療法人財団って何?メリットは?今は流行っていない理由は?

 2.財団医療法人とはなにか
 医療法人の分類の1つに、「社団医療法人」と「財団医療法人」があります。


「社団法人」というのは、ある目的を共有する人のあつまりという意味で、「財団法人」は、ある目的のために集められたお金という意味です。


社団法人にも財団法人にも、人とお金両方が属しているのが実態ですが、法人格が付与される対象が人かお金か、という点で異なるのです。



つまり、「財団医療法人」とは、病院や診療所等の開設・運営を目的として集められたお金ということになります。

 では、この「財団医療法人」は、「社団医療法人」と何が異なるのでしょうか。

 違いの1つめは、組織形態です。財団医療法人は評議員会という組織を置かなければなりません。

評議員会というのは、理事長の諮問機関です。理事長や理事会から意見を求められると、自発的にその事項について意思決定をなして、意見を述べることになります。

ただし、あくまで諮問機関ですから、理事長は評議員会の意見に拘束されることはありません。
このような組織の設置が求められるのは、医療法人の運営を適正に行うためと考えられます。

 2つめは、資金の集め方です。出資された財産に持分がないことは、「持分のない社団医療法人」と同じなのですが、「基金拠出型」を選択することはできません。

つまり、当初の運営資金はすべて、無償で寄付された財産からまかなう必要があるのです。



 さて、この財団医療法人、実態としてあまり利用されていません。

現在、全国に約400の財団医療法人がありますが、社団医療法人の数が約4万7千にのぼるのとは対照的です。
しかも、この約400という数は、30年前からほとんど変わっていないのです。

 財団医療法人が利用されない最大の理由は、税金面にあります。

法人設立時に、同族経営者だけで設立しようとすると、財産を法人に寄付する時に贈与税がかかってしまうのです。
かつては贈与税の課税がなかったため、相続税の節税に利用されていたのですが…

 そういう訳で、これから医療法人の設立をお考えの方は、財団医療法人を選択肢として考える必要はほとんどない、ということになります。