皮膚科の理事長から歯科医師を新理事長する変更はできる?

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Q 標榜科目が皮ふ科のみである医療法人にて
(従前)医師資格を有する先生(A先生)が理事長
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(今回)先生の奥様である歯科医師資格を有する(医師資格は有していない)先生(B先生)が新理事長に。
このような変更は可能でしょうか

B先生は、本件医療法人の理事長としての資格を認められるでしょうか。

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A 医療法人の理事長の資格について定める医療法46条の3第1項本文には、医療法人の理事長は医師又は歯科医師でなければならない旨規定されています。

この規定を機械的に適用した場合、B先生は歯科医師資格を有している以上、新理事長としての資格が認められるとも思われます。

しかしながら、上記規定の読み方として、問題となる医療法人の標榜科目が医師の領域のもののみである場合には、理事長資格が認められるのは医師資格を有する者のみとなります。歯科医師資格のみを有する者に理事長としての資格が認められるためには、医療法人の標榜科目内に歯科が含まれていなければならないということです。

そのため、本件医療法人の標榜科目は、皮膚科という医師の領域のみであるため、歯科医師資格しか持たないB先生は本件医療法人の理事長となることはできないのが原則です。

もっとも、上記医療法の条文には同条同項但書として、都道府県知事の認可を受けた場合には、医師又は歯科医師以外の者であっても理事長としての資格が認められうる旨規定されています。

それゆえ、本件においても、歯科医師資格しか有しないB先生であっても、都道府県知事の認可を受けることができれば、皮ふ科のみを標榜科目とする医療法人の理事長としての資格を認められることになります。

ただ、そもそも理事長の資格要件として原則として医師又は歯科医師としての資格を有していることが求められていることの趣旨は、医学的知識の欠落に国民の生命健康が害される事態を防止することにあることからすれば、原則的な資格を有しない者が都道府県知事の認可を受けることができるのはあくまで例外であり、認可にあたっては厳しい審査が予想されます。